【東日本大震災】<震災6年3ヵ月>夫の誕生日 決意の死亡届

東日本大震災で夫が行方不明になったままの女性が2017年6月14日、意を決して死亡届を提出した。

岩手県陸前高田市の熊谷幸子さん(75)。

夫は磨(みがく)さん=当時(71)=。生きていれば、この日が最愛の夫の78回目の誕生日だった。  

市役所の窓口で死亡届を提出した幸子さんは「やっぱり出してよかった」とほっとした様子。

磨さんが近くで「ご苦労さま。よく長い間我慢したね」とねぎらってくれた気がした。  

磨さんは、高台にある自宅から坂道を下って行き、津波にのまれたとみられる。

幸子さんは、日々の出来事や心の内をカレンダーの裏に書き留めるようになっていた。まるで夫と会話するように。  

つい先日は「今迄(いままで)迷ってきたけど生を受けた6月14日に出すのが一番と思いながらつらいし悲しいけど思い切って出します」と素直な気持ちをしたためた。  

こうして書き連ねたカレンダーは、震災から6年3カ月で250枚を超える。磨さんのジャケットやパジャマと一緒に「火葬」したいという。  

死亡届を出す気になれなかった幸子さんに変化が起きたのは今年3月。やはり震災で亡くなった友人を弔おうと市の追悼式に参列するなどし、供養したいという気持ちが強くなった。  

死亡届を提出し終えて自宅に戻った後、幸子さんは再びカレンダーの裏にペンを走らせた。

「落ち着いたら夢で会いましょう」。

これからも書き続ける。磨さんに語り続ける。

◇  岩手、宮城、福島の被災3県で行方不明は現在2546人。このうち42人は家族の意向などで死亡届が提出されていない。

河北新報

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