【東日本大震災】大震災6年 遺族会発足「二度と津波で亡くさない」 大槌

【東日本大震災】大震災6年  遺族会発足「二度と津波で亡くさない」 大槌

吉里吉里地区の吉祥寺の檀家が七回忌に合わせて

東日本震災による死者・行方不明者が1285人に上った岩手県大槌町。悲劇を風化させない--。同町吉里吉里(きりきり)地区にある吉祥寺の檀家(だんか)が七回忌に合わせて遺族会を発足させ、11日、同寺で、慰霊碑の除幕式が営まれた。「大切な人を二度と津波で亡くさないように」。会の顧問を務める保育園理事長の東谷(あずまや)藤右エ門さん(83)は誓う。

除幕式には約300人が出席。碑は、苦しみを取り除くという意味を込め「抜苦(ばっく)地蔵」と名付けられ、東谷さんは「大震災の教訓を次の世代に伝承していきましょう」と呼びかけた。

寺は高台にあり無事だったが、檀家179人が犠牲になった。その一人が妻ケイさん(当時74歳)だった。地域の青年会の活動で親しくなった。正月やお盆の集まりで、いつも三船和子さんの演歌「だんな様」を歌ってくれた。隠し事なく何でも相談できた。

6年前のあの日。東谷さんは、悔やんでも悔やみきれなかった。

海岸から約600メートルの自宅で突然、大きな揺れを感じた。「ここさいろ、俺は園児を避難させてくる」。妻に言い残して家を出た。高台の小学校に避難していた園児の無事を確認し校門を出ようとした時、津波が街を襲っているのを見た。

妻は約80メートル流された自宅の中で見つかった。近所の人から「ケイちゃん、津波来る前に家を出たり入ったりしていたよ」と聞いた。「俺のことを待っていたんだと思う。逃げろと言っておけば……」

東谷さんには、三回忌を前に遺族同士で話ができる場を設けたいとの思いはあった。だが、地区の住宅再建も進んでおらず具体化しなかった。

東谷さんの自宅があった場所ではかさ上げ工事が続く。今もおいの家で暮らすが、近く宅地整備が完了する見通しになり家を建て直す道筋も見えてきた。

「震災を語り継ぐためにも遺族会を作りませんか」。七回忌を控え、高橋英悟住職(44)が、地域の顔役でもある東谷さんに持ちかけたのを機に会は先月発足した。

大槌町は、東谷さんが生まれる3カ月前の1933年3月にも、昭和三陸津波で62人の命が奪われるなど、たびたび津波に襲われた。「地震があったら津浪(つなみ)の用心せよ」。地元に建立された石碑に刻まれていた。

「先人たちが警告したように、津波はまたいずれ来る。世代が代わっても震災のことをずっと伝承してほしい」。11日夕に遺族会のメンバーらが海に流す灯籠(とうろう)には、街の平穏を願って妻に宛てて書いた。「天国から見守って、ネ」

毎日新聞

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