【熊本地震】家族、日常を奪われ…「助けて早く」願い届かず

14日夜に熊本県を襲った激震は、地域で暮らす人々の大切な家族や何気ない日常を非情にも奪っていった。

新緑と水田が広がる一方で、倒壊した民家のがれきが無残に積み上がり、深い悲しみがにじんだ。  

益城町(ましきまち)の村上ハナエさん(94)と正孝さん(61)は自宅が倒壊し、親子で犠牲になった。  

近所で理容店を営む女性によると、一家は正孝さん夫婦と2人の息子、正孝さんの母ハナエさんの5人暮らし。正孝さんは、タクシー運転手で午後9時ごろからの夜勤が多かったが、この日は休みで自宅にいたという。  

無事だった妻は「助けて早く。2人おるけん」と声を上げ、救出作業を見守ったが、願いはかなわなかった。  

ハナエさんは数年前に夫を亡くし、最近は体調を崩していたという。親族の女性(43)は「ハナエさんは、ひ孫に当たる私の息子を『お宝さん』と呼び、かわいがってくれた。正孝さんも優しい人だった」と話した。

同町の福本末子さん(54)は義理の両親とともに倒壊した自宅の下敷きになった。  

福本さんの夫清三さんは、疲れ切った様子で無事救出を願ったが、末子さんだけ帰らぬ人に。近所の主婦(67)は「真面目で優しく、礼儀正しい人だった」。

15日に家の片付けに訪れた親類の20代の男性は「優しいおばちゃん。今は何も考えられない」と言葉少なだった。  

一方、同町の会社員、伊藤俊明さん(61)も倒壊した自宅に押しつぶされた。懸命の救助作業が行われたが、息絶えた。

同居する妹(55)は「私の自慢の兄だった。亡くなったけど、きれいな顔をしていた」と自身を納得させるように語った。

幼なじみで近くの会社経営の男性(67)は「温厚で優しい人柄。がんを患っていたが、会えば明るくあいさつしてくれた」と語った。 

毎日新聞

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